平成29年6月号
マイナポータルようやく始動!
28年1月から開始されたマイナンバー制度。今のところ、漏洩リスクや管理責任などを背負わされただけで、ほとんどメリットを感じられないのが実情ではないでしょうか。そんな中、29年秋の本格稼働を控え、ようやく7月よりマイナポータルの試行運用が開始されることになりました。
この政府が運営するオンラインサービスである「マイナポータル」は我々にどのような利便性をもたらしてくれるのでしょうか。
◆マイナポータルとは?
マイナポータルとは、政府が運営するオンラインサービスで、あらかじめ登録しておくことで、自宅などのパソコンを使って行政などから自分に合った情報提供を受けたり、申請や公金決済などを行うことができるようになります。今後、行政機関だけでなく民間事業者との連携も進められ、幅広いサービスをワンストップで受けられるようになることを目指しています。
◆マイナポータルで何ができる?
現時点で予定されている機能は以下のとおりです。
(1) やりとり履歴(情報提供等記録表示)
行政機関が自分のマイナンバーに関わる情報をどのように扱ったか、法定外に自己情報を取り扱っていないかなどを確認することができます。マイナンバーに紐付いた情報が、いつ・誰に・なぜ提供されたかといった履歴をマイナポータルで確認することができます
(2) あなたの情報(自己情報表示)
国民健康保険料や国民年金の支払状況など行政機関などが保有する自分自身の情報を、ネット上で確認できるようになります。わざわざ行政機関に出向いたり、問い合わせをする必要がなくなり、例えば確定申告等の際には、必要となる情報を簡単に入手できるようになります。
(3) お知らせ
行政機関などから自分に合った情報が送付されます。例えば、健康診断、予防接種、保育施設、各種助成、イベント、災害情報などの案内、税金や保険料などの通知など、個人個人に効率的な情報提供がなされます。
(4) ぴったりサービス(サービス検索・電子申請機能)
まずは地方公共団体が提供する子育てに関するサービスの検索やオンライン申請が可能になります。例えば、保育園の入所に関する手続きでは、マイナポータル上で入所可能な保育園を検索し、必要書類を添付の上マイナンバーカードを利用してオンライン申請、面談日の調整や審査決定通知も役所に出向くことなく自宅に居ながら行えます。今後は、年金、介護、転居、結婚、出産など様々な手続きが行えるようになる見込みです。
(5) 公金決済サービス
税金や社会保険料などの公金決済が、マイナポータルを通じ、インターネットバンキング(ペイジー)やクレジットカードを利用してできるようになります。
(6) もっとつながる(外部サイト連携)
外部のウェブサイトのアカウントとのつなげることで、マイナポータルから各種行政機関や民間事業者のサイトへのログインが可能となります。例えば、e-TaxやeLTAXも初回に登録だけしておけば、次回以降は利用者識別番号や暗証番号を入力することなくメッセージボックスの情報を確認できるほか、納税証明書、源泉所得税、法定調書などに関する手続を利用できるようになります。なおしばらくは、確定申告書の作成、電子申告は、今までどおり国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーを利用する必要があるようです。
◆LINEとの連携も!
29年中には、LINE公式アカウント「マイナちゃん」とのメッセージのやり取りを通じて、マイナンバーや氏名などの個人情報を用いることなく、全国の行政サービスを横断的に検索できるようになります。ユーザーの希望に合ったサービスが見つかったら、URLをタップして「LINE」からマイナポータルに移動し、マイナポータル上で電子申請を行うことができるようになります。
◆マイナポータルを利用するためには?
マイナポータルの利用には、「マイナンバーカード」が必須です。全国民に送付されている通知カードや住民基本台帳カードでは利用できません。マイナンバーカードの交付率は、平成29年3月時点の総務省集計で全国平均8.4%です。まずはマイナンバーカードの交付申請から始めなければなりません。
マイナンバーカードを読み取るには、ICカードリーダライタも入手しなければなりません。(一部の対応NFCスマートフォンでも読み取り可)
なお、現在はパソコンのみの利用となっていますが、29年中にはAndroid版スマートフォン、30年4月頃にはiOS版スマートフォン向けのログインアプリがリリースされる予定です。
マイナポータルをパソコン上で利用するための動作環境も、現在は少々厳しいです。サイト上に示された手順通りに進めればよいのですが、主として次の環境がなければなりません。
・ブラウザ:(Windows) Internet Explorer 11(32bit版)のみ
(Macintosh) Safari 7.1.8以上
・Java実行環境:Version 8 Update 111 以上
対応するパソコン環境がない方などのために、公的機関にマイナポータルを利用するための端末が設置される予定です。また、代理人の設定を行うことで本人以外がマイナポータルを操作することも可能です。
まだまだ機能も限定的で、利便性が高まるのはこれからですが、とりあえず利用登録だけでもしてみてはいかがでしょうか。