平成29年1月号
マイナンバー確定申告始まる
平成28年分の確定申告がいよいよ来月より始まります。今回よりマイナンバーの取り扱いが開始されますので、手続き面での変更点に注意が必要です。慎重な扱いが求められるマイナンバーですが、e-Taxを利用すればほとんど表に出ることはありません。e-Tax利便性はさらに増したと言えそうです。マイナンバー関係のほか、確定申告の手続きの流れ、主な改正内容を合わせて確認したいと思います。
◆申告書は、書面提出?e-Tax?
平成28年分の確定申告書の受付期間は平成29年2月16日から3月15日までです。還付の申告であればそれ以前でも行うことができます。また、e-Tax(電子申告)については、1月16日から受け付けられていますので、国税庁のホームページにある「確定申告書作成コナー」などで申告書を作成してe-Taxで送信すれば、早めに済ませることもできます。(e-Taxを利用するためには、マイナンバーカード、住民基本台帳カードなどが必要です。)
書面を持参して確定申告を行う場合には、期間内の平日8時30分~17時までに所轄の税務署へ行く必要があります。ただし、一部の税務署では、平成28年分の確定申告期間中、2月19日と2月26日に限り日曜日も確定申告の相談や申告書の受付を行っていますので、平日時間が取れない方は所轄の税務署に確認してみてください。
申告書は郵送することもできます。その場合は、特定記録や簡易書留郵便を利用することをお勧めします。また、自ら税務署の時間外ポストに投函することもできます。いずれの場合も提出用の申告書の他に、控え用の申告書と返信用封筒を同封しておきましょう。後日、税務署から収受日付印の入った申告書の控えが戻ってきますので手元に保管しておきます。
◆税金はいつ払う?いつ還付される?
確定申告により納めるべき税金がある場合には、通常は申告書の提出期限と同じ3月15日までに納付しなければなりません。所定の納付書に金額を記載して、税務署や銀行などの金融機関に持ち込み納付します。
なお、振替納税を利用すれば、平成28年分の確定申告に係る所得税については、4月20日に指定口座から引落とされます。振替納税を利用するためには3月15日までに、所定の依頼書を税務署に提出しておく必要があります。
確定申告によって還付される税金がある場合には、特に申告内容に問題がなければ、提出してから1か月~1か月半ほどで還付金が指定の預金口座へ振り込まれます。なお、e-Taxにより確定申告を行った場合には、3週間程度で還付されるようです。
◆マイナンバーの記入と提示
平成28年分より確定申告書には、マイナンバー(個人番号)を記入しなければなりません。扶養親族や事業専従者がいる場合もそれぞれのマイナンバーを記載します。
また、確定申告書を税務署へ提出する際には、その提出方法の違いによって、次のような手続きが必要です。
(1) 書面で提出する場合
確定申告書の提出の際に、本人確認書類を提示するか、そのコピーを申告書に添付します。「マイナンバーカード(個人番号カード)」を持っていれば、それが本人確認書類です。持っていなければ、「通知カード」+「運転免許証やパスポート」が本人確認書類となります。
(2) e-Taxで提出する場合
e-Taxにより確定申告を行う場合には、申告時に電子証明書によって確認できることから、本人確認書類等の添付は必要ありません。マイナンバーを記入した確定申告書を今までどおり提出することができます。
(3) 税理士が代理で提出する場合
税理士がe-Taxを利用して確定申告を行う場合も、本人確認書類等の添付は必要ありません。ただし、依頼する税理士への本人確認書類の提示は必要です。
◆マイナンバーで何が楽になる?
確定申告書にマイナンバーが記入されることで、今まで住宅ローン控除や譲渡所得の居住用の特例を適用する際に義務付けられていた住民票の添付が、不要となります。
また、マイナンバー(個人番号)カードには、電子証明書が組み込まれているため、このカードがあればe-Taxを利用することができます。
◆給与所得控除の引き下げ!
平成28年分より給与所得控除額の上限額が引き下げられ、給与収入1,200万円超の控除額は一律230万円(改正前は1,500万円超の控除額が一律245万円)とされます。
◆建物附属設備・構築物の減価償却は定額法のみに!
平成28年4月1日以後に取得する「建物附属設備」「構築物」の減価償却方法は、定額法のみとなりました。
◆被相続人の居住用財産の3000万円控除の創設
相続等により取得した被相続人の居宅を、耐震化又は取り壊して平成28年4月1日以後に売却した場合において、一定の要件を満たすときは、譲渡所得から3,000万円を控除することができます。
◆不動産業者の消費税のみなし仕入率の引き下げ!
平成28年分より消費税の簡易課税制度を選択する不動産業者のみなし仕入率は40%(改正前:50%)となりました(一定の経過措置があります。)。