平成24年2月号
社会保障・税一体改革大綱 閣議決定!!
政府は、平成24年1月6日にまとめた社会保障・税の一体改革素案についてそのまま「大綱」として閣議決定した。野党との合意が得られないまま法案を国会に提出する見込みである。今月のオーキス通信は、この大綱のうち消費税増税・相続税基礎控除下を含む税制抜本改革についてまとめた。
消費税
◆税率の引上
消費税の税率を次のとおり引き上げる。
イ 平成26 年4月1日 6.3%(地方消費税と合せて8%)
ロ 平成27 年10 月1日 7.8%(地方消費税と合せて10%)
(注1)上記の改正は、平成26 年4月1日(ロについては平成27 年10 月1日)以後に行われる資産の譲渡等について適用する。なお、工事の請負等について所要の経過措置を設ける。
(注2)法律成立後、引上げにあたっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応できるよう、消費税率引上げ実施前に「経済状況の好転」について、名目・実質成長率、物価動向など、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、引上げの停止を含め所要の措置を講ずるものとする旨の規定を設ける。
◆ 課税の適正化
イ 事業者免税点制度
(イ) 資本金1,000 万円未満の新設法人に関する免税点制度について、5億円超の課税売上高を有する事業者が直接又は間接に支配する法人(親族、関連会社等を含めた資本の持分比率が50%超の会社)を設立した場合については、当該設立された法人の設立当初2年間については、課税事業者とするなど現行の資本金1,000 万円以上の新設法人に対する措置と同様の措置を講じる。
(ロ) (イ)に該当することとなった場合の届出書の提出などについて所要の措置を講じる。
(注)上記の改正は、平成26 年4月1日以後に設立される法人について適用する。
ロ 簡易課税制度
簡易課税制度のみなし仕入率については、今般、同制度に関する実態調査を行ったところ、業種によっては、みなし仕入率の水準が実際の仕入率を大幅に上回っている状況にあることが確認された。今後、更なる実態調査を行い、その結果も踏まえた上で、みなし仕入率の水準について必要な見直しを行うものとする。
ハ 中間申告制度
(イ) 中間申告義務のない直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含む。)が60 万円以下の事業者のうち、自主的に中間申告を行う意思を有する事業者について、任意の中間申告(年1回・半期)を可能とする制度を導入する。
(注)上記の改正は、平成26 年4月1日以後に開始する課税期間に係るものについて適用する。
(ロ) 消費税の中間申告(年1回、3回又は11 回)に係る確定消費税額の最低額については、消費税額と地方消費税額を合わせた額を現行の最低額と同一とすることを基本として調整する。
個人所得税関係
現行の所得税の税率構造に加えて、課税所得5,000 万円超について45%の税率を設ける。
(注)上記の改正は、平成27 年分の所得税から適用する。
相続税関係
◆相続税基礎控除
(現行制度)
5000万円+1000万円×法定相続人の数
(改正内容)
3000万円+600万円×法定相続人の数
◆死亡保険金に係る非課税制度
(現行制度)
500万円×法定相続人の数
(改正内容)
500万円×法定相続人の数(未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限る。)の数
◆相続税の税率
(現行制度)
取得金額 | 税率 |
1000万円以下 | 10% |
3000万円以下 | 15% |
5000万円以下 | 20% |
1億円以下 | 30% |
3億円以下 | 40% |
3億円超 | 50% |
(改正内容)
取得金額 | 税率 |
1000万円以下 | 10% |
3000万円以下 | 15% |
5000万円以下 | 20% |
1億円以下 | 30% |
2億円以下 | 40% |
3億円以下 | 45% |
6億円以下 | 50% |
6億円超 | 55% |
◆未成年者控除
(現行制度)
6万円×20歳までの年数
(改正内容)
10万円×20歳までの年数
◆障害者控除
(現行制度)
6万円(特別障害者12万円)×85歳までの年数
(改正内容)
10万円(特別障害者20万円)×85歳までの年数
上記改正は平成27年1月1日以後の相続等について適用する。
贈与税関係
◆贈与税の税率
イ 20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合
(現行制度)
取得金額 | 税率 |
200万円以下 | 10% |
300万円以下 | 15% |
400万円以下 | 20% |
600万円以下 | 30% |
1000万円以下 | 40% |
1000万円超 | 50% |
(改正内容)
取得金額 | 税率 |
200万円以下 | 10% |
400万円以下 | 15% |
600万円以下 | 20% |
1000万円以下 | 30% |
1500万円以下 | 40% |
3000万円以下 | 45% |
4500万円以下 | 50% |
4500万円超 | 55% |
ロ 上記イ以外の贈与の場合
(現行制度)
取得金額 | 税率 |
200万円以下 | 10% |
300万円以下 | 15% |
400万円以下 | 20% |
600万円以下 | 30% |
1000万円以下 | 40% |
1000万円超 | 50% |
(改正内容)
取得金額 | 税率 |
200万円以下 | 10% |
300万円以下 | 15% |
400万円以下 | 20% |
600万円以下 | 30% |
1000万円以下 | 40% |
1500万円以下 | 45% |
3000万円以下 | 50% |
3000万円超 | 55% |
◆相続時精算課税制度
イ 受贈者の範囲に20歳以上である孫(現行推定相続人のみ)を追加する。
ロ 贈与者の年齢要件を60歳以上(現行65歳以上)に引き下げる。
上記改正は平成27年1月1日以後の贈与について適用する。
地方税制関係
地方法人特別税及び地方法人特別譲与税は、「税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置」であり、一体改革に併せて抜本的に見直す。一体改革による地方消費税の充実と併せて、地方法人課税のあり方を見直すことにより地域間の税源偏在の是正の方策を講じる。その際には、これまでの偏在是正の方策に関する提言等も参考にしながら国・地方の税制全体を通じた幅広い検討を行う。